新生「博多駅」の誕生
10年以上の年月をかけて進められてきたJR九州による新駅ビル計画、「JR博多シティ」が、2011年3月3日(木)、遂に博多駅にグランドオープンした。東急ハンズをはじめ229の専門店からなる「アミュプラザ博多」、九州初出店の百貨店「博多阪急」、全国各地の名店と地元博多のなじみの店46店舗が集まる日本最大級のレストランゾーン「シティダイニングくうてん」、そして屋上庭園、イベントホールや会議室といった文化施設で構成されている複合型商業施設である。JR九州は、地元の人たちはもちろん、通勤通学・旅行・ビジネスで博多駅を利用する人などから、近隣のアジアをはじめとする海外からの訪問客まで、幅広いターゲットを想定しているという。中でも、戦略ターゲットとして「自分らしいスタイルを楽しむ女性」「毎日の生活を楽しむ女性」という自身のライフスタイルにこだわりやプラスαを求める女性がイメージされており、「アミュプラザ博多」には、行列のできるドーナツショップとして有名なアメリカ発「クリスピークリームドーナツ」や、メイドインジャパンにこだわった丁寧な裁縫とデザインで人気のシャツ専門店「メーカーズシャツ鎌倉」、“心地良い暮らし”をテーマに、環境にもやさしいロングライフ商品を提案する衣食住関連のセレクトショップ「アーバンリサーチドアーズ」など、時代の先端をゆく九州初出店の店舗が84入っているとのこと。高感度な女性たちをフックに、カップルやファミリー層へのアプローチが叶いそうだ。オープン以来、3月中の1日平均の来場者は約24万2千人、アミュプラザ博多の対計画比売り上げ率は128%と、好調な出だしをみせている。
九州新幹線全線開通 ―博多ー新八代間、新たに開通―
さらに、九州新幹線全線開通という追い風もある。
2011年3月12日(土)午前6時10分、九州新幹線 鹿児島中央行きの一番列車「つばめ327号」が、多くの報道陣や一般市民の見守るなか、JR博多駅を出発。博多駅より、新鳥栖、久留米、筑後船小屋、新大牟田、新玉名、熊本、そして新八代駅まで、距離にしておよそ130km間が新たに開通したことで、博多から鹿児島中央間を走る九州新幹線全線が完成したわけだ。従来、博多〜鹿児島中央間に片道2時間12分かかっていたところ、開通後は53分短縮され、1時間19分となった。また、新大阪から博多を走る山陽新幹線との相互直通運転も実現したことで、新大阪から鹿児島中央までは77分短縮され、片道3時間45分で到着できる。九州新幹線(鹿児島ルート)は、1973年に整備計画が始まって以来、悲願の全線開業を果たした。これで鹿児島から青森までが新幹線でつながり、国内の移動距離がぐっと縮まった感がある。東日本大震災への配慮により、この日のための記念式典や各駅で予定されていた開通イベントは自粛されたが、関西方面、ひいては日本全土からの利用者増加や、アジアの玄関口としてなど、商圏拡大・広域集客が大いに見込まれ、新生博多駅および九州地方の快進撃は勢いを増すばかりだろう。
「九州新幹線全線開通」テレビCMが単体で高評価
また、インターネットのYouTubeでは、九州新幹線全線開通を祝う、180秒にわたるCMが静かに盛り上がりをみせた。「九州は一つ」というテーマで、新幹線の窓から眺めた風景を撮影したもので、鹿児島中央から博多駅までの257kmの沿線に有志として集まったおよそ1万人が出演しているのだ。老若男女、いろいろな人たちが笑顔で手を振ったり、時にはパフォーマンスをしたりする素朴な姿が、観る人たちの心を和ませている。震災と重なったことにより、一時このテレビCMはお蔵入りとなったが、九州地方では4月23日から再オンエアが始まった。スウェーデン出身のシンガーソングライター、マイア・ヒラサワが書き下ろした「Boom!」というCMソングも口コミで話題になっている。本来テレビCMとして制作されたものだが、インターネットや口コミでは、ひとつの作品として、好感をよせられており、高く評価されているようだ。撮影は震災前の2月20日になされたもので、「九州は一つ」というテーマではあるが、「日本は一つ」に置き換えて、被災地を応援する映像にもなり得るとの声もある。まさにこれからの時代を象徴するようなタイムリーでほのぼのとしたCM。東京一極集中神話がゆるやかに日本全国に溶けていきそうな予感だ。
問い合わせ先
博多ターミナルビル株式会社 博多駅ビル事業本部営業部販売促進課兼広報
TEL (092)292-9203
URL: http://www.jrhakatacity.com