2011年5月28日、高島屋大阪店 5階ローズパティオで、「2011タカシマヤゆかたファッションショー」が行なわれた。30〜40代の需要は増えているが、夏の浴衣商戦をひかえ、今回はビギナーとなるヤング層を強化していくためのファッションショー。浴衣売り場の面積も4月半ばに50㎡でスタートし、以降徐々に拡大、7月7日～18日のピーク時には400㎡にしていくという。
ショーには、クオリティの高さで定評のあるフリーペーパー「大阪美少女図鑑」のモデル10人が参加して、キュートな浴衣姿をアピールした。ひと昔は普段着とも言えた浴衣だが、現在は何かイベントなど特別な日のもの、といった印象になってしまった。日本人のファッションのルーツといってもいい浴衣を、どうしたらもっと気軽に若者に受け入れてもらえるか。和装全般に言えることだと思うが、まずは素材や着心地、ファッション性そのものをシンプルに楽しんでもらうことにつきるのだろう。“和装はこうでなければ”といった伝統や格式は、せっかくの若者たちの“楽しいおしゃれ”をしぼませてしまうことにもなりかねない。今回、同じ若者目線で浴衣のファッションショーをしたことで、来場者たちにはその良さをより身近に感じてもらえたのではないだろうか。「大阪美少女図鑑」のモデルたちを起用した高島屋大阪店は、「美少女図鑑のモデルをつかうことで、百貨店の浴衣売場には、若い世代用の浴衣もあり、スタイリングアイテムも豊富にあるということを伝えたかった。また、モデル世代の目線で店内にある色々なファッションアイテムを浴衣と組み合わせることで、新しい浴衣ファッション提案が共感を得た。売上も6月までで2桁増と好調に推移している。特に若い顧客が売場で目立つようになった」と述べている。
この「大阪美少女図鑑」は、発行部数20,000部がおよそ1週間で品切れになるほどの人気フリーペーパーなのだ。関西在住の「普通の女の子たち」をモデルにしたファッション誌で、ロケーションも誰もが見覚えのある「関西の街並み」。作品を発表するスタイリスト等、クリエイターによる出資や、趣旨に賛同した企業の撮影地・衣装協力があり、年2回発行されている。ヘアスタイル、美容、ファッションを通して「街のカルチャー」と「ライフスタイル」を提案し、大阪の女性を中心とした若者に圧倒的な影響力を与えているという。
「美少女図鑑」はそもそも、地方都市に美少女を増やそうとの発想から生まれ、大阪のみならず現在は東京以外の全国46都道府県から発刊されているもの。リアルで親近感があり、普通っぽさが魅力の地元女性たちをモデルとしているところが逆に新しく、地元行政や企業にとっては話題性やインパクトがあるとされ、女性たちにとっては手が届きそうなステイタス感として受け入れられているのだ。ヘアサロンやアパレル、コスメなど、モデルたちが紹介する情報は、無理がなく参考にしやすいと、読者の声。なるほど、ゆくゆくは東京で、という夢がある人もいるのだろうが、まずは自分が生まれた地で足固めをするのは自然なことだし、むしろ地元のいいところを東京に紹介するくらいの気構えでいたほうがかえっていいような気がする。東京にはすでに飽和気味の情報があふれており日々同じ顔ぶれといった感も否めないため、これからデビューする若者たちは、東京に迎合するよりも地元の味を出したほうが、より新鮮で魅力的に映るのではないかと思うのだがいかがなものか。
さて、「美少女図鑑」とのコラボレーションは全国で活況。茨城県水戸市では、震災からの地元復興を願って、5月29日予定より1ヶ月遅れで「mito☆ファッションショー×茨城美少女図鑑」をライブハウス“VOICE”にて開催した。水戸を中心に活動するショップやアーティストが、水戸発信のファッションを提案するとともに、音楽・アートなど年代問わず、ジャンルレスなショーを繰り広げるというもので、4回目となる今回は「茨城美少女図鑑」とコラボ、同誌のスタイリングも披露され話題に。初の企画に緊張気味だった美少女図鑑のモデルたちだが、会場は盛り上がり、イベントに大きな華を添えたかたちとなった。
また山梨県甲府市では、地元サッカークラブ ヴァンフォーレ・甲府が今季より4シーズンぶりにJ1に返り咲いたということで、ホームゲームにおける試合運営業務や各種PRイベント等のアシスタント等を中心に活動するヴァンフォーレクィーンを、山梨美少女図鑑の専属モデル13名が務めることに。ヴァンフォーレクィーンは昨年までは公募で決定していたそうで、今回のJ1ヴァンフォーレ甲府×山梨美少女図鑑のコラボ実現について、山梨美少女図鑑は「地域密着・地域貢献をコンセプトに掲げている両者の想いを紡ぎ、実現した企画。地域活性化プロジェクトとして、各メディアから注目を集めています」と話している。
そのほか、広島では、地域活性化プロジェクト「広島リアルバラエティー」の一環で誕生したガールズグループ「HBR(エイチビーアール)」が路上ライブを決行。週末21時過ぎの人通りが少ない商店街におよそ100人を集めたという。メンバーは「広島美少女図鑑」に参加していた高校生から社会人までの読者モデルの女性たちで、オリジナル曲のデビューを目指しているそう。
「富山美少女図鑑」では、“美少女図鑑×企画”のコラボを募集している。タイアップ広告であったり、行政に対する町おこしであったり、美少女図鑑をうまく活用した企画ものを制作して富山を盛り上げていこうといった趣旨だ。
なお、公式HPで全国の美少女図鑑の活動を検索することができる。企画次第で効果的なプロモーションが叶いそうだ。全国で展開されているコラボレーションが熱い。
（2011年7月13日 小松静）
問い合わせ先
■髙島屋大阪店
Tel:06－6631－1101（代）
URL:http://www.takashimaya.co.jp
■美少女図鑑（各地域別）
URL: http://www.bishoujo-zukan.jp/
■大阪美少女図鑑
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