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コラム・特集

ニコニコ動画の新境地 六本木ヴェルファーレ跡地に、次世代ライブハウス  “ニコファーレ(nicofarre)”オープン

ニコニコ動画の新境地 六本木ヴェルファーレ跡地に、次世代ライブハウス  “ニコファーレ(nicofarre)”オープン10代から20代のライフスタイルに溶け込んでいるインターネット動画コミュニティサービス「ニコニコ動画」(株式会社ニワンゴ提供)が、2011年7月18日、六本木のかつての“ディスコ”、ヴェルファーレ跡地に次世代ライブハウス「ニコファーレ(nicofarre)」をオープンし、話題を呼んでいる。

数ある動画共有サービスサイトの中で、とりたててニコニコ動画(以下ニコ動)の特徴を挙げるとすれば、動画を観ながらコメントをアップし合って、ユーザー同士の交流ができることだが、今回常設のリアルスペース、ニコファーレでもそれが可能となった。ライブの生放送をネット視聴しながら書き込んだコメントは即座にモニターに流れ、さらにはニコファーレでライブに参加している人たちも、会場でコメントを見ることができる(演出として実施しない場合もあり)。ネットというパーソナルな空間と、ニコファーレというリアルスペースとが、ライブというクリエーションによってつながった格好だ。もちろん、観覧者のみならず、コメントはアーティストの目にもふれるため、ツッコミを入れたユーザーに反応してくれる、なんて場面もあるかもしれない。有料の“サイリウムコメント”(30回300円)を使えば、自分のコメントをひと際目立たせることもできる。日比谷花壇がデジタル献花を請け負っているので(1万5000円~)、電話1本で花を贈ることも可能。開演前にモニターに映し出してくれるそうだ。

また、この箱の最新技術は、ステージに立ったアーティストのパフォーマンスを十二分に盛り上げる。四方プラス天井、全面360度の高輝度LEDモニターを駆使した映像システムとサラウンドな音響は新感覚で圧巻だ。たとえば、AR技術(※)によりヴァーチャルキャラクターを映像化して、あたかも実際にいるかのようにモニターに映し出したり、ユーザーのコメントを空中で舞っているかのようにみせたりと、リアルとバーチャルを縦横無尽に融合させることができる。音楽も、耳で聴くというよりも体中に響いてくる感覚だ。映像、音響、ライティング、カメラワーク、どれをとっても刺激的な仕事。アーティストはもちろん技術畑の人たちにとっても垂涎ものの箱だろう。使用料は平日1ドリンク付きで、1ステージ63万円。これにLEDモニター使用料が、オペレーター付きで105万円、ほか人件費や「ニコニコ生放送」配信料などは別途。ただ、ニコ動の一般ユーザーには要相談で、低価格での提供もあるとか。プロと一般ユーザー、半々くらいの割合で使ってもらえたら、という意向のよう。ニコファーレが完成してから、いわゆる“メジャー感”が出たイベントが多数開催された経緯もあり、ユーザーからイベントの企画募集をしたり、ユーザー向けの説明会を実施したりと、ニコファーレサイドは、これまでのようにみんなで一緒に創っていきたい旨をアピールしている。応募企画が採用されたら、会場を無料で使用することもできるということだ。

※AR技術(Augmented Reality):拡張現実。現実世界を、コンピューターを使って拡張、誇張する技術

 

東日本大震災 被災地復興支援チャリティアートショー「A Thousand Horizons Linkin Park + GOODSMILECOMPANY at nicofarre,Tokyo,JAPAN」

さて、この話題のニコファーレ、今回イベントレポートが取材したのは、オルタナティブ・ミュージック路線をいく、アメリカのバンド“リンキン・パーク”のチャリティアートイベントだ。第1部は、リンキン・パーク(以下リンキン)がプロモーションビデオの制作用に撮りためてきた未公開映像素材を使ったアーティスティックな映像ショーで、16:00~18:00までの間、およそ15分のロールがループ上映され、入退場自由に無料で観られるようになっていた。アーティスト不在の映像ショーとはいえ、音と映像がせまってくる感覚は非常にエキサイティング。ファンらは、「今日ここへ来るまで、(リンキン)の曲を聴くのを我慢していた」と、高揚感を噴出させていた。

その後、報道陣向けに会見が行なわれ、本人たちが登場。リンキン・パークは、赤十字とともにMusic For Reliefを設立し、世界規模の災害や温暖化対策にも社会貢献しているバンドで、今回、東日本大震災を知り、チャリティイベントを行なうことを切望したという。記者の質問に、日本をサポートできる機会があってうれしいと真摯に答える姿が印象的だった。特に、災害時の日本人が冷静に協力し合っている姿を観てオドロキを感じたそうで(同じようなシチュエーションになった場合、海外だと暴動が起きてもおかしくないという意見をよく聞く)、自分たちも同じように思いやりをもって何かをしたい、と音楽活動へのモチベーションアップにもつながったようすだった。また、これまで撮りためてきたクールな映像の数々をひとつのところで魅せたかった、とも話しており、それがニコファーレで実現できたことは彼らにとっても貴重な機会だったのではないだろうか。

第2部は、招待客のみの参加で、前半が世界初公開Remixバージョンの映像ショー、後半はクリス・ペプラー氏のMCによる、リンキン・パークのトークセッションが行なわれ、イベントのようすは「ニコニコ動画」内の「ニコニコ生放送」で観ることができた。

このニコファーレ、こけら落としにはAKB48や東方神起を登場させ、華々しいイベントを行なっているが、スポーツ、ゲーム、アニメから政治討論まで、利用の仕方にマニュアルはなく、多くの可能性が秘められている。イベント内容によって、体感度の差も大きそうだ。ユーザーと一緒に創り上げていくというスタンスは変わらないだろうが、世界にその名を響かせるようなスペシャルなイベント開催も期待できる。クリエーターや技術者も募集しているようで、まだできたてほやほやの原石といったところだが、今後、さらに多分野の人材が集まる場所になるだろう。キーワードは“融合”。いろいろな素地が混ざり合い、新しいモノが生まれるスペースになりそうだ。

ニコファーレを手がける株式会社ドワンゴは「今後、観客を入れたライブ形式での生放送を中心に、メジャーアーティストのライブイベント、ニコ動アーティストによるライブイベント、ニコ動技術部系イベント、政治言論系イベントなど、幅広いジャンルでのイベントを実施していきます。また、ニコファーレを有効活用するイベント企画をニコ動ユーザーから一般募集し、選ばれた企画は、ドワンゴが費用負担するなどしてサポートし、ユーザー発案によるイベントも積極的に行っていきます。ユーザーを対象にしたニコファーレの設備などについての説明会も今後毎月実施していきながら、ユーザーのリアルでの活動をサポートする場としても盛り上げていきたいと考えています」と話している。

主催 有限会社グッドスマイルカンパニー
協力 Linkin Park/株式会社ドワンゴ/株式会社ワーナーミュージックジャパン/株式会社クリエイティブマン
日時 2011年9月9日(金) 

・第1部 「A Thousand Horizons Museum」

16:00開場~18:00終演

・第2部 「A Thousand Horizons Show」

19:30開場~20:00開演~21:00終演

イベント当日の模様
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フォトセッションで笑顔をみせてくれたリンキンの面々

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リンキン登場で、ファンからは大歓声が

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トークショーのようす。ネット視聴している人たちからも質問の嵐

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モニターに、“好きなゲームは?”など多くの書き込みが映し出される

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モニターには英語の書き込みも。ライブ中継ネットによって世界中がつながっているのが感じられる

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ファンサービスたっぷり、サインに気さくに応じるリンキンの4人

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イベントを通したグッズ販売等の売上の一部はMusic For Relife(※)を通じて震災被災地へ寄付された

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モニターからは東日本大震災の被災地のようすが映し出されていた

※Music For Relife(ミュージック・フォー・リリーフ)の公式サイト(こちら)では現在も世界中から募金を集めている

(2011年9月9日(金)小松静)

 

ニコファーレ(nicofarre)施設概要
収容人数 スタンディングステージ:  380名 

ステージ+可動式ステージ: 280名

着席(シアター)ステージ: 160名

ステージ+可動式ステージ: 128名

面積 敷地面積:786.4㎡ 

ホール面積:199.1㎡

舞台面積:ステージ36.6㎡、ステージ+可動式ステージ 55.4㎡

控え室 Room1/Room2/Room3/Room4 

※Room1とRoom2は、1室にしての利用可

※シャワー室、給湯室あり

その他施設 リンクカウンター、副調整室、ロッカールーム(女性120口/男性75口)、バーチャルルーム(バーチャル機能使用時はRoom4が使用可能)
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ニコファーレ内観。奥はドリンクスペースになっており、上部にあるモニターからライブのようすを観ることができる。手前がメイン会場への入り口

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ニコファーレメインスペース。フルで使う場合は写真の背面側のモニターもあわせ、360度スクリーンの迫力を表現することができる

 

 

 

問い合わせ先

URL: http://nicofarre.jp/
問い合わせフォーム:http://nicofarre.jp/mail.php