ショー仕立ての記者発表会で華やかに演出
BtoCのリアルクローズイベントの草分けである神戸コレクションが誕生から10周年を迎える今年、東京公演が「東京ランウェイ」へ名称を変えて新たにデビューする。1月28日(日)には表参道のスパイラルホール(港区南青山)で、マスコミ各社を集めて「東京ランウェイ2012 S/S(スプリングサマー)記者発表会」が行われ、新しいリアルクローズイベントの誕生を国内外へ向けて発信した。
ファッションイベントの記者発表会らしく、進行はショー仕立て。神戸コレから編集したオープニング映像で、「東京ランウェイ」としてのリスタートを臨場感たっぷりに演出したばかりでなく、MCに抜擢された谷原章介さん、夏川純さんが登壇。続いて、「東京ランウェイ」に出演するモデルを代表し、蛯原友里さん、冨永愛さん、加藤夏希さん、アユキさん(中国版「Rayli」モデル)、ルナさん(中国版「ViVi」モデル)の日中のモデル5人がウォーキングを披露し、会場は本番さながらの華やかな雰囲気に包まれた。
MCの2人は早くも息がぴったり。それぞれ、「去年はいろいろ暗いことがありましたが、『東京ランウェイ』のリアルクローズの力で明るいものを世界へどんどん広めていきたい」(谷原章介さん)、「代々木体育館での開催へと規模もすごく拡大されたので、気合十分です」(夏川純さん)と意気込んだ。神戸コレを含めて初参加の蛯原友里さんは、「いろいろなブランドが出演されるので、どんな衣装が着れるのかなとすごく楽しみ。私たちが『東京ランウェイ』を背負って出発するということなので、新しい時代を築いていけたらと思います」と抱負を語った。神戸コレモデルとしてお馴染みの加藤夏希さんは、「神戸コレクションは女の子たちがその日のために洋服を買ったりオシャレをして来てくださるので、客席も本当に華やか。ファッションショーだけでなく、ライブやブースがあって一日中楽しめます」とPR。世界のトップブランドのショーで活躍してきた冨永愛さんは、「リアルクローズのコレクションを東京から発信できるのはすごく嬉しい。あの規模のコレクションは海外にもなく、ウォーキングの気持ちよさは第一級です」とコメントした。
ファッショニスタブロガー70人がSNSでサポート
有名タレントやモデルのステージとともに会場を華やかな空気に染めていたのが、ファッショニスタブロガーである若い女性たちの存在だ。神コレと女性向けブログサイト「GiRLS GATE.com」がコラボしたファッションブログコミュニティサイト「神戸コレクションブログ」やファッション雑誌「WWDジャパン」「JJ」を通じて集まった女性達70人で、読者モデルが中心。トレンドで装った彼女たちはステージに熱い視線を送るとともに、会場の様子をデジカメやスマートフォンで撮影してツイッターやフェイスブックにどんどん投稿。ステージの横に設置されたモニター2台には、ブロガーが送ったコメントや画像がリアルタイムで次々とアップされていった。
また、質疑応答でもブロガーは積極的。あるブロガーは蛯原友里さんに「今年春夏の気になるアイテム」について質問し、「シャーベットカラー(淡いパステルカラー)のアイテムをカラー・オン・カラーで組み合わせて着たい」との回答を引き出していた。
神戸コレは初回からインターネットや携帯を交えたメディアミックスを展開しており、ブロガーのインフルエンサーとしての活用も、これまで培ってきた広報戦略のノウハウを生かした手法と言える。「東京ランウェイ」プロデューサーの下中大介氏(株式会社毎日放送事業局事業部副部長)はあいさつの中で、「神戸コレクションの人気を支えてくれたのは、(コレクション会場に)集まってくれた女の子たち。チケットが売れて、女の子がどんどんきれいに、オシャレになっていった。こういう女の子たちの口コミがファッションを支えるんだなと実感し、『東京ランウェイ』を最初に発信する時には、メディアに加えて我々を支えてくれた女の子たちへも発信したいと思った。SNSでの発信を大切にしながら、このコレクションを開催したい」と、ブロガーを集めた理由を説明した。
ブロガーの中には神戸コレの初回から参加しているファンもいるそうだが、同イベントは当初から「明日着たい服」をテーマに、若い女性たちが共感できるファッションを提案。「東京ガールズコレクション(=TGC)」や「ガールズアワード」など、BtoCのリアルクローズイベントが次々と開催されるようになると、その姿勢をより鮮明に打ち出した。「女の子たちはリアルで共感を持てるものにしか、口コミしてくれない。彼女たちの共感によって(他のファッションイベントと)差別化していったと思います」(下中氏、以下同)。こうした方針が功を奏し、神コレは回を重ねるごとに観客動員数を拡大。第3回目の2004年秋冬コレクションから「東京公演」を開催し、今では年間約32,000人を動員する日本最大級のファッションイベントへと成長を遂げた。
「アジアの都市・東京で開催するコレクション」へ
国内を席巻した神戸コレから、次はアジアのファッションイベントのトップランナーとなるべく、名称を改めた「東京ランウェイ」。その位置づけは、「アジアの都市・東京で開催するコレクション」だ。神コレはすでに2007年に中国へ進出、現地で「上海コレクション」を開催してきたが、「東京ランウェイ」の発進でアジアマーケットの取り込みをいっそう加速させる。新人モデルの登竜門となっているオーディションの方法も一新。サマンサタバサとタッグを組み、外見だけではなく、強い信念と夢を叶える力を兼ね備えたモデルを発掘する「ワンライフモデルオーディション」をスタートさせた。「東京ランウェイ」当日も中国人トップモデルがゲスト出演する予定だが、アジア随一の市場規模を持つ中国では今、いわゆる“赤文字系”と呼ばれる日本のファッション雑誌の中国版が大人気。記者発表会に登場した2人の中国人モデルのフォロワーだけでも約100万人に上るという。「ワンライフモデルオーディション」では、こうしたファッション誌をはじめ、アジアで活躍できるモデルの育成を目指す。会見に集まったブロガーの中には中国からの参加者もいて、当日の様子を早速情報発信していた。
一方、リアルクローズイベントとして目指すのは、BtoCイベントの最高峰というポジション。BtoBのリアルクローズイベントでは国内最大級の「メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク 東京」が「東京ランウェイ」の会期をまたいで開催されることから、これとコラボレーションすることでより鮮明にブランディングしていく。「メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク 東京」を主催する一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構の山崎賢ニ事務局長は、「日本のファッション文化、ファッション産業のさらなる発展をけん引するエンジン役として、共に頑張っていきたい」とエールを送った。
東京からアジア、ひいては世界のファッションシーンをリードしていこうという「東京ランウェイ」への期待は高く、初参加のブランドを含め、すでに国内外の約35ブランドが出展を予定している。「こうしたジョイント型のショーにはなかなか参加してくれなかったようなブランドが並んだ」。後発のリアルクローズイベントに影響を与えたばかりでなく、「リアルクローズブーム」「モデルブーム」など数々のトレンドを生み出してきた神コレの新しい展開に、大きな注目が集まっている。
(2012年1月28日(土) 安江めぐみ)
東京ランウェイ 2012 S/S 開催概要 (1月28日現在)
日時:3月20日(火祝) 14:00開場/15:00開演
会場:国立代々木競技場 第一体育館
予定動員数:約15,000人
主催:東京ランウェイ実行委員会(TBS、TBSラジオ&コミュニケーションズ、MBS)
後援:観光庁、日本ファッション・ウィーク推進機構
制作:MBS、アイグリッツ
協賛:資生堂、Xperia、メルセデス・ベンツ、タイガー魔法瓶、江崎グリコ、Samantha Thavasa、ハーゲンダッツ ジャパン、ワコール、ネイルズユニーク、PRiSiLA、JTB、小林製薬、セダークレスト、α-WIWON、マンナンライフ、アリオラジャパン、JR東日本、神コレVISAカード、LUMINE、大阪文化服装学院、タマリス
媒体協力:AneCan、CanCam、JJ、SPUR、steady.、sweet ※ABC順
オフィシャルサイト:http://tokyo-runway.com/
出演モデル:安座間美優、有村実樹、石田二コル、浦浜アリサ、蛯原友里、絵美里、大石参月、押切もえ、オードリー亜谷香、加藤夏希、シャウラ、土屋巴瑞季、冨永愛、藤井リナ、舞川あいく、松島花、メロディー洋子、山本美月、ヨンア、LIZA、渡辺知夏子 ※他約100名の出演者を予定
中国ゲストモデル:中国ViViモデル、中国Rayliモデル、中国minaモデル
MC:谷原章介、夏川純
入場料:SS席/8,000円、S席/6,000円、サイド席/5,000円、自由席/3,000円
問合せ:「東京ランウェイ」事務局:TEL03-3408-8999(全日10:00-19:00)