HOME >  業界ニュース >  東京スカイツリー開業を祝う「台東区記念事業」を展開
業界ニュース

東京スカイツリー開業を祝う「台東区記念事業」を展開

「大江戸クリーン大作戦」できれいな街をアピール

東京スカイツリー(東京都墨田区)の開業まであと2カ月と迫った3月17日(土)、台東区は東京スカイツリー開業記念in台東「大江戸クリーン大作戦~見上げても足元も美しく~」を開催。地域の美化活動の推進を図るとともに、“クリーンな街、台東区”をアピールした。

東京スカイツリー開業を祝う「台東区記念事業」を展開

吉住区長(左)が「大江戸清掃隊」68団体を代表する6団体へ感謝状を授与

当日は活動10周年を迎えた台東区の清掃ボランティア、「大江戸清掃隊」への感謝状贈呈式が行われ、吉住弘・台東区長が68団体を代表する6団体へ賞状を授与した。吉住区長は「(スカイツリーの開業で区外から)多くの皆さまにお越しいただいた際に、足元がきれいな街と言われるためには皆さまのお力が必要です」とメンバーたちを激励。また、台東区議会議長の青柳雅之氏は、「お客様に楽しんでいただく最大のホスピタリティは街をきれいにすること。ホスピタリティとはみなさんが受け継いできた下町の心そのものです」と述べた。

代表団体のひとつ、阿部川町会のメンバー(男性)は「浅草は人が多いのでゴミも多いが、それを人目につかないようにしたい。家康公が開いた江戸の町をきれいにし、訪れるみなさんに喜んでいただければ」と、意欲を新たにしていた。

贈呈式の後は東京スカイツリーを眺めながらの回遊ルートでの清掃活動が予定されていたが、あいにくの雨で急きょ中止に。集まった参加者はスカイツリーをデザインしたオリジナル手ぬぐいなどの参加賞を受け取って解散した。ただし、早稲田大学漕艇部と慶應義塾體育會端艇部の学生95人が自主的に東京メトロ・東武鉄道・東京都交通局浅草駅の界隈で清掃活動を行い、街の美化に一役買った。両大は隅田川の春の風物詩、「早慶レガッタ」で台東区と縁がある。

東京スカイツリー開業を祝う「台東区記念事業」を展開

雨の中、清掃活動に取り組んだ早稲田大学漕艇部と慶應義塾體育會端艇部の学生

台東区役所環境清掃部環境課担当係長の堀文恵氏は「大江戸クリーン大作戦」について、「地元で美化活動に取り組んでいる方が一堂に集まり楽しくお掃除することで、美化活動の活性化と新しい担い手の発掘ができればと、企画しました。また、この活動により“おもてなしの気持ち”が伝わればという思いもありました。合わせて感謝状贈呈式を行うことで、参加者や街の方たちへ大江戸清掃隊のPRも兼ねています」と話す。本イベントには大江戸清掃隊を中心に、早稲田大学漕艇部と慶應義塾體育會端艇部、各清掃ボランティア団体、地元の中学・高等学校など、約800人もが応募し、そのうち約50人が区外からの希望者だった。堀氏は「スカイツリーファンの方も応募してくださったのではないでしょうか」と推測する。

 

 

街ぐるみのイベントを継続的に実施

「大江戸クリーン大作戦」は、台東区が東京スカイツリー開業を記念して今年1年をかけて展開中の「台東区記念事業」(http://www.city.taito.lg.jp/index/bunka_kanko/skytreekinen/index.html)のひとつ。59の事業のうち、同区はこれまでにも吾妻橋のたもとへのカウントダウンボードの設置や、東京藝術大学、墨田区と連携してスカイツリーのビューポイントにアート作品を設置する「GTS観光アートプロジェクト」などを実施してきたが、記念事業は今回のようなイベントが中心。区だけでなく、地域の各団体が主催するものまで、幅広いラインナップの展開が特徴だ。同区文化産業観光部にぎわい計画課担当係長の飯野秀則氏(以下同)は、「スカイツリー開業をエリア全体で盛り上げていくということ。既存事業を記念事業として位置付けるだけでなく、新規・PR事業と合わせ、様々に展開していきます。こうしたイベントを通して台東区の魅力を発信することで、誘客や地域経済の活性化に結びつけたい」と意気込む。

ある民間企業のアンケートによると、スカイツリー見物の際に台東区へ立ち寄りたいと回答した人は8割を超えるという調査結果もあるそうだ。台東区の来街者数は年間4,000万人以上だが、「今まで以上に大勢の方に来ていただけるのではないかと感触を得ています」と期待値は高い。大幅な観光客増加を見込む同区は、真正面にスカイツリーが望める隅田公園(台東区側)内に展望ゾーンを整備するほか、親水テラスに防災船着場を設置し、隅田川を行き来する水上バス「東京水辺ライン」を発着させている。ソフトとハードを合わせ、街ぐるみで観光客の取り込みに力を入れていく方針だ。

東京スカイツリー開業で来街者数が増加するのは確実。ただし、継続的な誘客を図るにはリピーターの獲得が課題で、そのためにはスカイツリーに絡めた新たな観光の掘り起しを視野に、台東区の魅力を発信していく必要がある。大規模な清掃活動こそ中止されたものの、今回の「大江戸クリーン大作戦」は、区外の人へ街の美しさを印象付ける格好のイベントだったといえる。記念事業には今後、雷門前で地元名物の浅草サンバカーニバルや制作中の「台東音頭(仮称)」などを紹介する「たいとうにぎわいフェスティバル」(5月)など、大規模なイベントも盛り込まれており、スカイツリー開業を機に浅草、上野など歴史ある観光地を有する台東区が、新たな観光スポットとしてさらににぎわいを増しそうだ。

(2012年3月17日(日) 安江めぐみ)

大江戸清掃隊
台東区では平成13年から区内在住、在勤・在学者で構成された団体または個人で清掃活動を行うボランティアを「大江戸清掃隊」として登録。「隊員」は月1回以上の自主清掃活動をしたり、ユニフォームである袢纏を着て区主催の美化啓発キャンペーンに参加する。2012年2月現在、登録団体は町会、商店街、老人クラブ、企業、学校など242団体、登録人数は3,288人に上る。