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コラム・特集

東日本大震災、あの日から1年 ~「みちのく合衆国」レポートとともに~

東日本大震災から1年が過ぎた。

いまだ、がれきの山を見つめ、失われたままの街なみを見ながら暮らす人々、帰らぬ家族の遺影と向き合いながら生活する人々、胸ふさがれたあの日を思い、手を合わせる。
死者・行方不明19,009人に上るマグニチュード9.0の巨大地震による大津波の記憶は1年経った今も深い悲しみにあふれている。福島県では福島第1原発事故の影響で県内外へ16万人の人々が避難したまま苦しい生活をしいられている。

しかし、東北魂は負けていない。希望の光は一歩でも前へと進む被災者たちから生まれている。仮設商店街にはかつての顔見知りが集まり、笑い顔が増えてきた。少しずつではあるが、浜辺では水産物が水揚げされ、がれきが撤去された田畑では新しい農産物の収穫が待たれている。

各地で行なわれた追悼式、追悼イベント

今年、3月11日は宮城県内では沿岸の15市町が追悼式を行ない、村井嘉浩宮城県知事をはじめ被災地自治体の首長たちは復興へ前進することを誓った。

追悼イベントも行われた。石巻では大切な人に向けたメッセージを書いたハト型の風船を夜空に放った。仙台青年会議所(JC)は「3.11わたしたちは忘れない~世界中に伝える“ありがとう”」を市民広場で開催した。水が入った紙コップ約3,500個に火を灯したろうそくを浮かべ「ありがとう」の文字を縦5m、横20mの大きさで浮かび上がらせた。紙コップには被災した市内の小中学校の児童生徒がメッセージを記した。気仙沼では大津波が押し寄せた気仙沼湾(「鼎が浦」と呼ばれ、3つの岬がある)の各岬に設置したサーチライトが点灯され、巨大な3本の光の柱が登場。幻想的な光景を映し出した。

私の住む多賀城市でも国特別史跡多賀城政庁跡で「史都多賀城万灯会(まんとうえ)~3.11復興の灯(ともしび)~」が開催された。市内の小中学生がメッセージを記した紙製のあんどんにろうそくの灯がともされ「力を合わせてがんばろう」の文字が浮かび上がった。同じ日、多賀城市と友好都市を結ぶ奈良市・福岡県太宰府市でも一斉に点灯がなされたという。

「みちのく合衆国」 震災から1年と1週間後に開催
東日本大震災、あの日から1年 ~「みちのく合衆国」レポートとともに~

「みちのく合衆国×B-1グランプリ」会場。雨の中、多くの人がB級グルメを楽しんだ

被災から1年ということで、各地でイベントが開催されたが、3.11から1週間後の3月17日、仙台市に隣接する利府町にあるセキスイハイムスーパーアリーナを会場にフジテレビジョン主催の「お台場合衆国2011 大感謝イベント みちのく合衆国~いつでもNIPPON応援団!~」が土日の2日間、開催された。お台場合衆国の団長、角谷公英氏から経緯とエピソードをお聞きした。

昨年2011年の夏、「被災地支援」を一大テーマに掲げお台場で行なわれた「お台場合衆国~ぼくらがNIPPON応援団!」は47日の開催期間中、420万人の来場者で大成功をおさめた。電力不足、原発の不安もある中、当初、白紙撤回の動きもあったが、今だから被災地を元気にしたいという思いでこれを開催。チャリティでは1億円が集まり被災地に寄付できた。結果的に420万人という記録的な来場者数となった最終日、何かお礼がしたいという思いと、被災から1年経った東北の地で開催することにより被災地の方々に楽しい一時を過ごしていただきたいという思いで、今回の「みちのく合衆国」開催に至った。

この会場を選んだ理由は、震災後に桑田佳祐さんがライブを開き、その感動をまのあたりにした事がきっかけ。会場は震災後、半年近く遺体安置所として使用され、多くの遺族の悲しみが詰まった場所でもあるが、来場者はこのことを承知の上で集まる。

開催日は1年目を過ぎた1週間後のこの日に決めた。震災の3月11日は雪が舞う真冬を思わせる寒さであった。あえてこの日を選んだのは震災の日を忘れないためだ。

広報宣伝については東北3県(福島・宮城・岩手)のみで重点的に告知を行った。とにかく前例のないイベントであり、対象を東北の人に絞ることから、いかに被災地の方々を集客できるかが課題だった。

無料イベントにこだわり、ステージイベントは招待制に
東日本大震災、あの日から1年 ~「みちのく合衆国」レポートとともに~

2日目、めざましLive出演者の集合写真。左から司会の軽部真一・生野陽子(フジテレビアナウンサー)、ナオト・インティライミ、AI、郷ひろみ、MONKEY MAJIK、西野カナ(敬称略)

ステージイベントは初日の「THE MANZAI」に出場した実力派漫才師の生放送と、「ピカルの定理」の公開収録、2日目は「めざましライブ」でのアーティストたちのライブ、入場は応募形式で各日6,000人の募集のところ44,241名の応募があった。ステージイベントの抽選に漏れた方々も楽しく過ごせるように屋外で開催のB-1グランプリは入場自由。

復興に何年かかるかわからない。でもイベントを継続していくことが大切。とくに原発被害にあった福島が元気になるように今後、福島開催も考えたいと団長は熱く語る。

当日は小雨の中、開場前から多くの方が行列を作って並んでいた。お台場では考えられない光景だったそうだ。予想外にフジテレビのグッズ売り場も長蛇の列。B-1グランプリの会場も被災県のブースも設けられ、傘を差しながらお目当てのブースに並ぶ家族連れが目立った。この2日間で20,000食強が完売したという。

来場者全員に配られた「みちのく合衆国ONE PIECEチョコ」。無料イベントを掲げたフジテレビの被災地への熱い思いが伝わった2日間であった。ちなみに今回の来場者数は18,659人(2日間)。団長の角谷氏は青森県出身。東北人の粘り強い忍耐力は団長のイベントにかける思いと重なった。

* * *

最近、復興という冠を付けたイベントがやたらと多い。被災地応援をキャッチフレーズにした商売も横行している。被災地の人々は一時しのぎ的な支援でなく震災をきっかけに絆を長く持たせたい思いが強い。この震災をきっかけに多くのイベンターが被災した地元の方々と手を取り合い、地域復興のイベントがこれからも数多く誕生することを期待したい。次世代に「3.11を忘れさせない」ことも大切だが、一方で、「復興」という2文字が早いうちに報道から消えてくれるよう、祈りたい。

(2012年3月17日(土) 大山真由美)

 

みちのく合衆国 開催概要

名称 お台場合衆国2011 大感謝イベント みちのく合衆国~いつでもNIPPON応援団!~
会期 2012年3月17日(土)~18日(日)
会場 宮城・セキスイハイムスーパーアリーナ(グランディ・21)
主催 フジテレビジョン
共催 宮城県
岩手めんこいテレビ/仙台放送/福島テレビ
協力 岩手県/福島県
入場料 無料(ステージは抽選で各日6,000人を招待、B-1グランプリは入場自由)
スタッフ数 延べ1,250人(2日間)
総来場者数 18,659人(2日間)
ステージイベント応募者総数 44,241人
B-1グランプリ販売数 20,000食強完売
URL http://www.michinoku.tv

 

みちのく合衆国 主なコンテンツ

ステージ(バラエティDay) THE MANZAI in みちのく合衆国/ピカルの定理
ステージ(めざましライブDay) 郷ひろみ/AI/MONKEY MAJIK/西野カナ/ナオト・インティライミ
オープニングアクト:ルンヒャン
みちのく合衆国×B-1グランプリ 十和田バラ焼き/黒石つゆやきそば/八戸せんべい汁/横手やきそば/久慈まめぶ汁/いわてまち焼きうどん/石巻焼きそば/なみえ焼そば/甲府鳥もつ煮/ひるぜん焼そば(各300円)
展示 フジテレビこどもおうえんプロジェクト「ガチャピン・ムックとみちのくのなかまたち」
その他 マーサ春の歌祭り/トミドコロ春のハグ祭り