大手町駅から徒歩2分、東京駅の日本橋出口に面する「丸の内トラストタワー」の屋外エントランスで、鹿児島県産のかごしま茶をPRするイベント「かごしま百円茶屋」が開催された。主催は(社)鹿児島県茶業会議所。
赤い毛せんの敷かれた茶席が置かれ朱塗りの傘が掲げられた会場では、かごしま茶(煎茶)のポットサービスと鹿児島の郷土菓子が楽しめる。お茶席の横のテントでは鹿児島の特産品の試食販売も同時に行なわれた。セットで100円と手ごろな値段から「百円茶屋」と名づけられたこのイベント。お茶を頂く際には「日本茶インストラクター・アドバイザー」から実演とアドバイスを受けられるとあり、取材に訪れた金曜の午後も、悪天にも関わらず近隣のオフィスワーカーが男女・年齢層を問わず次々来店してお茶で一息つく姿が見られた。百円茶屋は今後、毎月1回のレギュラーイベントとして開催していく予定だという。
会場となったイベントスペースを運営しているのは、同ビル1Fの観光案内所「TIC TOKYO」や3Fの貸会議室「トラストシティカンファレンス・丸の内」を運営している森観光トラスト株式会社。この日は毎週金曜日のお昼にエントランスロビーで行なわれるクラシックの定期コンサート、観光案内所の一角で行なわれた久保田一竹美術館による伝統着物のPR展示、そして屋外の「かごしま百円茶屋」の3つを集中させ、お昼時の会場をいつも以上に盛り上げる作戦をとった。近隣のワーカー、特に若い女性たちがランチの行き帰りに立ち寄る場所であることからも「イベントスペースとしての魅力をもっとアピールしていきたい」(森観光トラスト 関連事業部 小澤敏弘氏、以下も同様)とのことだ。
同社はこれまでも外国人観光客向けの折り紙のワークショップを開催したり、今回の百円茶屋のような地域PRイベント「旅さき市場TIC」の出展者を募集してきたが、今後は運営する2スペースとそこに併設のレストランバー等をセットで使ってもらい、さらに効率的なプロモーションが展開できるよう、各方面に働きかけていきたいとしている。
「屋外で一般向けイベント、会議室では企業向けプレゼンや記者発表会、レストランバーではコラボメニューの展開、待合スペースで観光写真の展示など、面の展開をすることで、それぞれにシナジー効果が期待できる。また、複数の団体が集まれば、例えば各自いろいろな縁を生かしてマスコミに声をかけることで、様々な媒体に取り上げていただく可能性が増える。イベントなどを通して関わるみなさんとWIN-WINの関係を作るのが理想です」。実際に今回の伝統着物のPR展示は、小澤さんが声をかけた山梨県の地元新聞が取材に訪れ、経済面で大きく扱ってもらうことができた。こうなれば、PRイベントの効果は飛躍的に大きくなってくる。
東京駅・大手町駅を出てすぐというアクセスのよさはもちろん、長距離バス降り場の目の前、富裕層向けツアーの集合場所、そして周囲に巨大なオフィス街をひかえるという恵まれた立地。外国人観光客、国内観光客、ワーカーなど、さまざまなタイプの来場者が多いのも特徴になっているが、イベントを行なう頻度はまだまだ少ないという。スペースや環境、人脈を有効活用し、利用者との相互関係を築く手法で、今後のさらなる展開が期待される。
(2012年4月20日(金)大塚泰子)
関連リンク
TIC TOKYO:http://www.tictokyo.jp/