「社員食堂」(社食)は福利厚生の一環として各企業で設けられている給食施設。近年、「体脂肪計タニタの社員食堂500kcalのまんぷく定食」(大和書房発行)というレシピ本で話題になったタニタの食堂は、「健康」というイメージで広く浸透していますが、他のテーマで社食に力を入れている企業もあります。例えば、ネットサービス企業の楽天は、社員に対して、社食を無料で開放しています。その狙いは、「社内コミュニケーションの活性化」です。また、GMOインターネットも社食を24時間開放し、且つ無料にすることで、グループ会社間の交流を深めています。一方、「社会貢献」をテーマに社食を展開する企業もあります。トヨタ自動車や高島屋が各事業所の社食で導入する「TABLE FOR TWE」(TFT)という制度は、カロリーを抑えたヘルシーメニューを選ぶと、1食につき20円がウガンダなどのアフリカ諸国に寄付され、子供の給食1食分になるというものです。このように、各企業の社食情報を整理してみると、コンセプトとなり得るテーマが、「健康」「コミュニケーション活性化」「社会貢献」と3つに大別できます。
さて、この3つのテーマを掲げてプロジェクトを進めている食関連の企業があります。
キリンホールディングス「100万人でつくろう元気なうた」キャンペーン
ひとつは、キリンホールディングスの「100万人でつくろう元気なうた」キャンペーンです。このプロジェクトは、キリンホールディングスがグループ横断で取り組む“キリンの健康プロジェクト”において、新たなテーマに『あなたに、日本に、元気をプラス』を掲げて3月から発信しているものです。4月12日には、TOKYO FM HALLで「100万人でつくろう元気のうた」キャンペーンの発表会を行いました。発表会では、キャンペーンで歌づくりをプロデュースする音楽プロデューサーの武部聡志氏が登場し、今回のチャレンジへの熱意や、楽曲づくりの方法について語りました。さらに、出来上がった歌を歌うアーティストの一人である一青窈さんもゲストとして参加。また、このチャレンジに共感した元宮崎県知事の東国原英夫氏がプロジェクトの応援団長を務め、日本中に元気を注入していくことを誓いました。現在、キャンペーンサイトでは、第1弾「みんなで歌詞をつくろう」と、”元気をもらったひとこと”を募集。集まったメッセージが”元気のうた”の歌詞となり、6月には、歌の歌詞とメロディが完成します。そして、第2弾が「みんなで曲に参加しよう」と、7月から8月に、楽曲と映像を構成する声・音・映像を集め、10月を目標に、延べ100万人の元気が結集した”元気のうた”の完成を目指す、という壮大なキャンペーンです。また、キャンペーンサイト以外でも、実物の”元気をプラスボタン”を作り、各地イベント会場への設置や人から人へ手渡しで回る『旅する”元気をプラスボタン”』計画を通じて、リアルな場所でも元気な声・音・映像を集めて”100万元気”の達成につなげていく予定です。完成された「元気のうた」は、KANさん、キマグレンさん、一青窈さんの3組のアーティストが歌うことも発表されました。
日清食品「チキンラーメン レッドカップキャンペーン」
もうひとつのプロジェクトが日清食品のチキンラーメンが4月から進めている「レッドカップキャンペーン」です。日清食品のチキンラーメンといえば、キャラクターの「ひよこちゃん」でもおなじみでもあり、「日清チキンラーメン」ともいわれ、袋をあけて取り出した乾燥麺をどんぶりなどの食器に入れ、熱湯をかけて蓋をする。3分待てば食べられる、というインスタントラーメン。商業的に成功した即席麺としては先駆者的存在の商品です。また、非常食としても重宝されています。その「日清チキンラーメン」が「世界中のがんばる子どもたちを応援する」をコンセプトに、国連WFP協会の「レッドカップキャンペーン」に参加しました。このプロジェクトでは、WFP国連食糧計画の「学校給食プログラム」を支援することで、1人でも多くの子どもが飢えることなく健全に成長し、学び、貧困を克服できるようにと協力するものです。具体的には、キャンペーン期間中「日清チキンラーメン」1食につき0.2円、「日清チキンラーメンどんぶり」1食につき0.34円、総額3,000万円以上を目標として、国連WFP協会に寄付します。この寄付金は、学校給食に形を変え、貧困に苦しむ子どもたちに必要な栄養と希望を届けます。「レッドカップキャンペーン」の由来は、WFPが給食を入れる容器として使っている「赤いカップ」から生まれました。「赤いカップ」は、子どもたちが未来への希望のシンボル。みんなで力を合わせて給食を届ける、世界がより良くなっていく、それが「レッドカップキャンペーン」です。日清食品の「チキンラーメン レッドカップキャンペーン」は、来年2013年3月31日まで展開されます。
(2012/5/12)