HOME >  コラム・特集 >  コラム >  全編ボーカロイドで構成されたクラブイベントがニコファーレで初開催!
コラム・特集

全編ボーカロイドで構成されたクラブイベントがニコファーレで初開催!

日本最大級の動画共有サービス「niconico(ニコニコ動画)」の㈱ニワンゴを傘下に持つ(株)ドワンゴが2011年7月、六本木にオープンした次世代ライブハウス「ニコファーレ」。

このライブハウスの大きな特徴は、観客を取り囲むようなかたちで壁に設置されたLEDモニター。ここでは単に映像を流すだけにとどまらずない、「ニコニコ動画」らしい使い方ができる。例えばライブイベントの模様をリアルタイムで配信。それを「ニコニコ動画」を通じて見た視聴者が、「ニコニコ動画」名物である「コメント」を書き込む。そうすると、そのコメントが今度は会場のモニターに映し出され、会場と数万~数十万の視聴者が生でコミュニケーションを取ることができるのだ。

全編ボーカロイドで構成されたクラブイベントがニコファーレで初開催!

オープニングを飾ったのは人気DJ「八王子P」。イベントはスタートから最高のテンションに

そんな「ニコファーレ」では、開業以来、個性的な企画が様々なかたちで行われてきたが、今回初めての試みとして、全編「ボーカロイド」(※)の楽曲のみで構成されたライブが行われた。

「Voca Nico Night」と名づけられたこのイベントは、普段「ニコニコ動画」で人気を博している「ボーカロイド」を駆使するアーティストたち(「ボカロP」と呼ばれる)が一堂に会し、ノンストップでDJプレイを繰り広げるというもの。

「最初に企画書を書いたのは昨年8月。『ニコファーレ』ができた直後ということになります。その後様々な技術的検証を経て、今回実現に至りました。既存のクラブカルチャーとは異なる音楽性がニコファーレの特徴ですが、旧来のクラブ空間に行ったことのないニュージェネレーションがたくさん来て、ボカロの魅力をさらに広めるという意味では最高の手応えだったと思います。新しい音楽文化というのは、きっとこういう熱気が創り上げていくんだろうなというのは肌で感じました」((株)ドワンゴ ユーザー文化推進部 阿部大護氏)

「ニコファーレ」はかつて一世を風靡したディスコ「ヴェルファーレ」の跡地にある。仮に「ヴェルファーレ」のままであったら縁のないような層、あるいは阿部氏の言うように既存のクラブカルチャーからかけ離れた層も、普段慣れ親しんでいる「ニコニコ」「ボカロ」というキーワードに反応。「ニコファーレ」が自分たちの新たな居場所という認識を強く感じているという印象だった。

「今までもニコニコ内の大きな創作ムーブメントをリアルで再現するイベントを数多く企画。とりわけ人気コンテンツである『ボカロ』カルチャーを様々な視点からフィーチャーした、リアルイベントを何度も開催してきました。そんななか、今回の『Voca Nico Night』は、『ボカロ』の核である作り手『ボカロP』が主役というイベントでした。いわゆる作曲家が主役になってお客さんを盛り上げるイベントというのはなかなかありませんし、今までできていなかった。そういう意味では、『ボーカロイド』という新しい音楽カルチャーは俺たちが創っているんだというクリエイター達の自己主張の場でもありますし、観客としても、ネットを介して普段一人で聴いている音楽が会場でかかった瞬間、リアルで集まった仲間と同じシンパシーの中で盛り上がることができる。リアルな空間での共有体験の場としての位置づけでもありますね」(阿部氏)

全編ボーカロイドで構成されたクラブイベントがニコファーレで初開催!

ニコファーレ名物である全壁面LEDモニターには、生中継されたイベントを見た視聴者による「コメント」がリアルタイムで流れる

こうした「共有体験」は、会場内だけにとどまらず、「ニコニコ動画」を通じてイベントを体験している視聴者と会場とのインタラクティブ性も「ニコファーレ」の魅力のひとつとなっている。

会場からの生放送を見た視聴者がコメントを発信し、それを会場でまた受け止める。象徴的だったのがライブ中にリクエストを受け付け、それに演者が応えてプレイ内容を決めていくという試み。まさに会場と視聴者が一体となってイベントを盛り上げる仕掛けで、こうしたことができるのは「ニコファーレ」だけだ。会場には約470人が足を運んだが、その後ろには10万人の視聴者がおり、発信力という点で非常に大きな力を持っている。海外からの視聴者も多かったとのことで、日本のポップカルチャーの新たな側面を、その手法も含めてアピールするコンテンツとして今後ますます注目されるのではないだろうか。

オープンして1年あまりながら様々なトライをしてきた「ニコファーレ」。今後も、この特徴ある会場ならではのアプローチで、ユニークな企画が生まれることだろう。
(7月14日(土) 鈴木隆文)

※=ヤマハが開発した音声合成技術、およびその応用製品の総称。略称として「ボカロ」という呼び方もされる。メロディと歌詞を入力することで、サンプリングされた人の声を元にした歌声を合成することができる

【名称】Voca Nico Night
【会期】2012年7月14日
【会場】六本木ニコファーレ
【開催地】東京都港区
【主催】niconico
【URL】http://www.nicovideo.jp/vocanico
【入場料】前売り:2,000円(立ち見・ドリンク代込み)
当日:2,500円(立ち見・ドリンク代込み)
※ネットチケット(ネットでの視聴)は無料
【チケット販売窓口】会場、チケットぴあ、ローソンチケット
【ターゲット】「ニコニコ動画」ファン
【告知宣伝】「ニコニコ動画」を通じた告知、チラシ配布、プレスリリースに反応したメディアを通じた告知など
【制作印刷物】チラシ
【会場広さ】199.1㎡(ホール面積)
【動員数】約470人(視聴者数10万人)
【開催期間】1日間
【開催歴】1回目
【次回開催】未定