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カシオがデジタルサイネージに新規参入

カシオがデジタルサイネージに新規参入

自らデモンストレーションを行う樫尾和雄社長

新しい広告手法として注目されるデジタルサイネージ。客を認識して着せ替え画像を配信するものや、JR東日本が導入したレコメンド機能付きの「次世代自販機」など、日常的に新しい製品を目にする機会が増えてきた。今後も市場拡大が予想される中、デジタル技術や小型化設計などの強みを生かし、デジタルサイネージ事業へ新規参入したのがカシオ計算機だ。11月26日に開かれた記者発表会では樫尾和雄社長自らデモンストレーションを行い、新製品「カシオサイネージ」の特徴やこれを核とした事業展開について説明した。

「カシオサイネージ」は店頭に置きやすいコンパクトサイズ。本体は高さ195mm×幅470mm×奥行535mmの小型プロジェクターで、前面のスクリーンに背面からキャラクターや人といった映像を投影して、来店者へ呼びかけるという仕組みだ。音声付きの動画を作成し、コンテンツとセットで販売するのが売り。導入店は1枚の静止画と映像に語らせるテキストを用意するだけでいい。「店舗にとって一番大切なフロントで、アテンション効果のあるサイネージを考えた」と樫尾社長。

カシオがデジタルサイネージに新規参入

口の動きなども微調整ができる

特定のキャラクターでは顧客に飽きられてしまうと、投影する映像を店舗の特性に合わせて自由に選べるようにした点が、従来のマネキン型サイネージと大きく異なる。スクリーンの形状・大きさも、映像に合わせて提供する。音声は、性別・高低・スピードなど、ニーズに応じてテキストから合成が可能。投影コンテンツはSDカードに保存され、いつでも差し替えられる。多国籍の客が訪れる店舗にとっては、スクリーンにタッチするだけで、四カ国語(日・英・中・韓)の切り替えができるマルチ言語対応も魅力だ。

アテンション効果の高い製品を提案する一方で、クラウドサービスと連携させて事業展開する。現在検討中なのが、搭載した近距離無線通信(NFC)機能を使用したサービス。客がスマートフォンをかざすと、その店舗に応じた電子クーポンなどを配信する。「『カシオサイネージ』はフロントとバックヤードのクラウドサービスを合わせた仕組みで、店舗独自のサービス展開ができる画期的な商品」と樫尾社長は胸を張る。

カシオがデジタルサイネージに新規参入

スクリーンをタッチして言語切り替えが可能

カシオ計算機は2010年、世界に先駆けて、「レーザー&LEDハイブリッド光源」を使用した高輝度のプロジェクターを開発。従来型の約10倍の光源寿命を実現し、プレゼンテーションやサイネージの現場で好評を得ている。そもそも、デジタルサイネージへの参入は「長寿命プロジェクターを使って、新規事業ができないかと考えた」(樫尾社長)ことが発端で、「カシオサイネージ」には、この「レーザー&LEDハイブリッド光源」プロジェクターが搭載されている。2,500~3,000ルーメンの高輝度に加え、光源寿命は同じく約2万時間。長時間映像を流し続けるサイネージにとって、メンテナンスコストの軽減は大きなメリットだ。

売り込み先はスーパーやコンビニ、飲食店、アパレルショップなどだが、公共施設や各種イベントでも活躍しそうだ。「マルチ言語対応なので、海外のように博物館や美術館に置くなど、広告販促ツールとしてだけでなく、案内ツールとしての需要も十分考えらる。プリセットモデルから動画を作れるため、低価格で提供できるという点では、展示会などへのリース展開も検討していきたい」(サイネージ企画推進部)

販売価格は100万円前後。2013年1月に日・米・英で同時発売し、順次他国で展開していく。2012年度(2013年3月まで)に2,000台、2013年度は2万台の販売を目指す。

 

問い合わせ カシオ計算機 サイネージ企画推進部 TEL.03-5334-4548(直通)
http://casio.jp/