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コラム・特集

国際科学オリンピックについて

1.国際科学オリンピックとは

国際科学オリンピックというものをご存知だろうか?

世界中の中等教育課程にある生徒(日本では主に高校生)を対象にした科学の各分野における知識・技術を競う国際コンテストで、わが国からの参加者はかなり健闘している。

日本では文部科学省が科学技術振興機構を通じて支援を行い、物理、数学、科学、情報、生物学、地学、地理の7分野に生徒を送り出している。

直近では、先月7月に物理、数学、科学、情報、生物学の5部門の大会が開催された。
詳細と日本人の結果は以下の通り。

「第47回国際化学オリンピック」
開催地:アゼルバイジャン・バクー
期 間:平成27年7月20日~29日
参加国:75カ国・地域
人 数:292名
結 果:金メダル2名、銀メダル2名獲得
※詳細は国際科学オリンピックHP

「第56回国際数学オリンピック」
開催地:タイ・チェンマイ
期 間:平成27年7月4日~16日
参加国:104カ国・地域
人 数:577名
結 果:銀メダル3名、銅メダル3名獲得
※詳細は数学オリンピック財団HP

「第46回国際物理オリンピック」
開催地:インド・ムンバイ
期 間:平成27年7月4日~13日
参加国:82カ国・地域
人 数:382名
結 果:金メダル1名、銀メダル2名、銅メダル2名獲得
※詳細は文部科学省HP

「第27回国際情報オリンピック」
開催地:カザフスタン・アルマトイ
期 間:平成27年7月26日~8月2日
参加国:83カ国・地域
人 数:322名
結 果:金メダル3名、銅メダル1名獲得
※詳細は情報オリンピック日本委員会HP

「第26回国際生物学オリンピック」
開催地:デンマーク・オーフス
期 間:平成27年7月12日~19日
参加国:61カ国・地域
人 数:239名
結 果:金メダル1 名、銀メダル2 名、銅メダル1 名獲得
※詳細は国際生物学オリンピック日本委員会HP

「第8回国際地学オリンピック」
開催地:スペイン・サンタンデール
期 間:平成26年9月22日~28日
参加国:21カ国・地域
人 数:82名
結 果:金メダル1 名、銀メダル2 名、銅メダル1 名獲得
※詳細は文部科学省HP
※2015年度大会は9月にブラジルで実施予定

「第11回国際地理オリンピック 」
開催地:ポーランド・クラクフ
期 間:平成26年8月12日~18日
参加国:36カ国・地域
人 数:144名
結 果:銀メダル1名獲得
※詳細は文部科学省HP
※2015年度大会は現在ロシア・トベリで実施中。8月10日~8月17日

2.競技の概要と国際大会への流れ~科学オリンピックを例にして~

競技の一つ、国際化学オリンピックは、1968年に東欧3ヵ開会式の様子(第36回大会より)国(ハンガリー、旧チェコスロバキア、ポーランド)が始めた高校生の学力試験から発展した、1年に1度開催される「化学」の国際大会。

日本で有名な「数学オリンピック」も同じ3ヵ国から始まった。1984年にアメリカ合衆国が参加して以来急激に参加国が増え、今では例年約60ヶ国から200人を超える高校生が参加。

大会は、通常、毎年7月に約10日間開かれ、 それぞれ5時間に及ぶ実験問題(Experimental Examination) と筆記問題(Theoretical Examination)が出題され個人戦として競われます。成績優秀者には金メダル(参加者の1割)、銀メダル(同2割)、銅メダル(同3割)がそれぞれ贈られる。

また、大会期間中は試験だけでなくExcursionと呼ばれるプログラムが用意されており、その内容はスポーツやゲームから開催国独自の文化を体験するものまで多岐に渡っている。これらのExcursionを通じて他国の参加者との交流を深めることになる。

なお、日本は2003年に初参加、以来毎年4名の代表生徒が参加し好成績を収めている。

代表選手の選出方法だが、参加人数は各国から4名以内となっており、それぞれの国で開かれる何段階かの選考会の成績優秀者から選ばれる。

日本では、オリンピックの前年度に開催される「全国高校化学グランプリ」に参加して、1、2年生の中で上位の成績を挙げれば代表候補になることが可能。

そして2005年からは、毎年春に実施される代表候補者の合宿で最終選考会を行って、その年の夏に開催される国際化学オリンピックの代表生徒を決定している。

春の合宿までの間、代表候補は、配布される参考書、過去の大会の問題および開催国からその年の1月頃発表される準備問題集を使って、個々にトレーニングに取り組む。代表に決定した後には実験問題の訓練合宿を行うなど、大会に備えてさらに実際の試験を想定したレベルアップを目指す。

なお、代表候補者決定から国際化学オリンピックまでの期間を通して、代表候補および代表生徒は、日本化学会の最寄りの支部の学習支援者による学習支援を受けることが出来る。

このほかに、「国際化学オリンピック大会に参加した者」または「日本化学会の各支部化学教育協議会から推薦された者」で、化学グランプリ・オリンピック委員会により認定される代表候補もいる。

国際化学オリンピックHPより)

3.今後の大会日程

各部門の今後の大会日程は以下の通り。

2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024
物理 インド スイス/リヒテンシュタイン モルドバ ポルトガル イスラエル リトアニア インドネシア 日本 イラン フランス
数学 タイ 香港 ブラジル ルーマニア イギリス
化学 アゼルバイジャン オーストリア タイ
情報 カザフスタン ロシア イラン 日本
生物学 デンマーク ベトナム イギリス イラン ハンガリー
未定
日本
地学 ブラジル 日本・三重
地理 ロシア

 

※各関係機関のホームページ等より作成。詳細は各機関に要確認

上記のように、2020年前後に日本での開催が集中するのも興味深く、また日本からの参加者が健闘していることから、様々なコラボレーション企画も考えられるであろう。

この国際科学オリンピックを通じて、各分野の専門的な見方や考え方・技能をもち将来の世界を担っていく若者が育ち、活躍していくことを期待したい。