1.北陸・七尾線観光列車「花嫁のれん」10月より運航開始
豪華な食事を楽しむ列車が流行のようである。
この10月3日から北陸を走るJR西日本の七尾線を「花嫁のれん」と名づけられた列車が運行を開始する。
この観光列車は、デザインコンセプト「和と美のおもてなし」の魅力に加え、「花嫁のれん」に込められた女性の幸せを願う思いを「幸」というキーワードでつなぎ、旅の魅力を提供していく思いで企画された。
運行区間である能登には、恋路海岸や夫婦岩と称される機具岩(はたごいわ)のような女性の幸せを願うものや、パワースポットとして有名な「聖域の岬」などもあり、「幸」に満ちたエリア。この観光列車「花嫁のれん」をきっかけとして、能登の魅力である「幸」を感じて欲しいという願いもある。
中でも注目したいのは、内装デザイン。1号車は8つの半個室と物販スペースがあり、ゆったりとくつろぎの旅を楽しめる空間に。通路は日本庭園の飛び石をイメージした絨毯(じゅうたん)を敷き、各部屋はそれぞれ一般社団法人石川県繊維協会の協力のもと選定した友禅のオールドコレクションをあしらった空間に。
2号車は催し物を実施できるスペースを用意し、にぎやかに旅を楽しめる空間となっている。通路は流水のイメージ、いすは紅色の生地と背面の木の格子が特徴的なオリジナル回転いすにしている。内装は伝統的によく使用される輪島塗の図柄を表現し、車両全体で、北陸の和と美を感じ、満喫できる列車となっている。
もちろん、外装やエンブレムも和をイメージした美しく豪華絢爛なデザインに。
※詳細はJR西日本HPへ
2.豪華な”食”を楽しめる観光列車
一方で、現在運行中の観光列車の中には、車内で豪華な食事を楽しめるものもある。
例えば、今年8月より運行されているJR九州の「或る列車」では、東京・南青山のレストラン「NARISAWA」のオーナーシェフであり、自然環境をテーマにした料理をつくり続けるシェフとして、国内外にその名を轟かせている成澤由浩氏による極上スイーツコースが楽しめる。コースはサンドウィッチやサラダを閉じ込めた小箱とスープからスタートし、旬のフルーツをたっぷりと使ったスイーツ3品、そしてミニャルディーズ(お茶菓子)へと続く。
ほかに、昨年7月より運行を開始した、軽井沢から長野にいたる、しなの鉄道沿線のゆったりとした景観を楽しめる観光列車「ろくもん」では、地元食材をふんだんに使用した料理を味わえる。地元の名店シェフによる本格的な洋食と和食を用意。
また、2013年7月に運行を開始した、千葉県房総半島のいすみ市・大多喜町を走るいすみ鉄道の観光列車「キハ28」では、『レストランキハ』と称し、伊勢海老やイタリアン、刺身、和食、和菓子、スイーツなど、季節に合わせた料理を用意している。
※詳細はJR九州「或る列車」HP
しなの鉄道「ろくもん」HP
いすみ鉄道HPへ
3.走るホテル?豪華な客室を用意した寝台列車
また、2013年10月から運行がはじまったJR九州のクルーズトレイン「ななつ星in九州」は、豪華な食事に宿泊がセットされた寝台列車で相変わらずの人気。
この影響からか各地で、列車内とは思えないほど豪華な客室で贅沢な宿泊が可能な寝台列車を計画している。
2017年春に運航開始予定のJR東日本「四季島」は、上野発を予定とした寝台列車。車内は「樹木のような有機的な窓」が特徴的なデザイン溢れるラウンジや、和モダンなダイニング、日本の美意識を盛り込んだスイートルームを用意。また、列車の先頭と最後尾に配される展望車では、窓が壁から天井まで広がり、森林や田園、渓谷や海辺などの自然溢れる風景を楽しめる。
同じく2017年には、JR西日本「瑞風(みずかぜ)」が運航開始予定。こちらの列車に1つしかない最上級客室は、1両1室のスペースを確保。プライベートバルコニーやバスタブ付きの本格的なバスルームを設けた世界中にも希少な客室に。
※詳細はJR九州「ななつ星in九州」HP
JR東日本「四季島」HP
JR西日本「瑞風(みずかぜ)」HPへ
上記で見て来たように、観光へと直接繋がる、旅先への足となる鉄道は近年、”おもてなし”の精神から企画された豪華な旅路が楽しめるものが増えてきている。
ほかに、車輌自体をキャラクターのデザインでまとめた、エヴァンゲリオンイメージの新幹線が平成27年11月7日~平成29年3月の期間限定で運行予定。
※詳細はJR西日本「山陽新幹線全線開業40周年記念 新幹線:エヴァンゲリオンプロジェクト」HPへ
これらの列車のように、旅先だけでなく旅路自体も楽しめることは、乗車前、乗車中、乗車後も様々な企画をプラスできそうだ。2020年の東京オリンピックで訪れる外国人に観光意欲を促すとともに、通年訪れる外国人観光客をより増やすインバウンドへと繋がり、更なる観光大国になることを期待したい。