藤原新選手(30)といえば、無職・無収入の状態から東京マラソン2位入賞を経てロンドン五輪男子マラソン代表選手の座を射止めた、“市民ランナーの星”。「走ることを仕事にしたい」という夢の実現のため、先日、自らが代表を務める(株)藤原新を設立。同時にその広報宣伝・営業活動をサポートするために有志の4企業によって立ち上げられた「アラタ・プロジェクト」が始動し、なにかと話題を集めているアスリートの1人だ。
その藤原選手の応援プロジェクトとして今回、ニコニコ動画を通じた「個人スポンサー」の募集が発表された。
仕組みは以下のとおり。ニコ動は藤原選手の個人スポンサーを募集する特設ページをサイト内に設ける。ここでスポンサーとして応募できるのは「ニコニコ動画」プレミアム会員のうち先着2万人だ。ニコ動はこの2万名が支払うプレミアム会員費の月額525円(税込み)1か月分を、そのまま藤原選手への協賛金へと振り替える。もちろん、会員としてのサービスは継続して利用可能。つまり、ユーザーはニコ動を通して出費を増やすことなく藤原選手の「スポンサー」になることができる。一方の藤原選手にとっては、2万人のスポンサーが集まれば集まる協賛金は1千万円だ。
記者発表で藤原選手は「このようなスポンサーの集め方は、私の知る限り初めての試み。日本のアスリートのあり方を変える可能性がある」とし、さらに「日の当たらないアスリートへの何らかのエールになれば」と意気込みを語った。
アスリートが企業に所属するのではなく、個人が集まってアスリートを支えるという全く新しい形を提示してみせた今回の発表。個人スポンサー募集を始まりとして、今後も様々な応援企画を予定しているという。
藤原選手自ら言及があったのは、ニコ動を通した「単に観戦するだけでなく、ドキドキ・ワクワク感を体験できるような」特別チャンネルの提供。もともとニコ動の1ユーザーであったという藤原選手なだけに、「見せたい自分、僕なりの笑いの取り方がある。そういうものを見せられるのがニコ動だと思う。私の笑いのツボを皆さんと共有できたら」と不敵な笑みも見せた。
なお、藤原選手は今月4月28日(土)と29日(日)に幕張メッセの国際展示場1~8ホールを使って行なわれる大規模イベント「ニコニコ超会議」に登場し、ニコ動でのロンドンオリンピックに向けた取組みの詳細について発表する予定となっている。
オリンピックの楽しみ方、アスリートの応援の仕方といえば、「テレビ観戦」「観客として応援」という形をとるのが大多数だが、今回の試みを通して、そこにどのような試金石が投げられることになるのか。スポーツのあり方、アスリートのあり方という視点はもちろん、スポーツやイベントの放送・放映・配信・・・といった視点からも、新しい展開が見えそうだ。
(2012年4月16日(月)大塚泰子)
<参考リンク>
スポンサー募集用特設ページ:https://secure.nicovideo.jp/secure/entry_fujiwaraarata
ニコニコ超会議公式サイト:http://www.chokaigi.jp/index.html