近年、放送とインターネットの連携は、テレビ放送にとどまらず、ネットワーク伝送容量の制約の少ないラジオについても、各国でインターネットでの同時再送信が進み、ラジオの配信手段として定着しています。日本では、ラジオ放送の難聴取解消の手段として、インターネットでの同時再送信が開始されており、スマートフォン等の普及とスマートフォン向けアプリの配信により、その利用が拡大しています。
平成22年12月には、地上ラジオ民放が中心となり「(株)radiko」が設立され、関東圏と関西圏で放送エリア内に限定した再送信が開始され、平成24年4月現在では、民放ラジオ65局の参加に放送大学が加わっています。またNHKでも、平成23年9月1日に「radiko」とほぼ同様のシステムで第一放送、第二放送及びFM放送についてパソコンによる再送信「らじる★らじる」を開始、翌月にはスマートフォン等への再送信も開始。「らじる★らじる」では、平成23年9月から12月の「同時ストリーム数」(何台のパソコン等が同時に接続されているかを示す)は、ラジオ3波合計で平均3,000、最大で12,700に達しています。また、「ユニークIP数」(1日で総計何台のパソコンが接続されていたかを示す)では、ラジオ3波合計で平均52,000、最大100,000に達しています。さらに、平成23年10月から平成24年1月4日までのスマートフォン向けアプリ のダウンロード数は、総計約63万件に達しています。
「radiko」は、平成24年1月30日現在、パソコン用アプリケーションのダウンロード数が約290万件、スマートフォン向けアプリのダウンロード数も総計約390万件。また、スマートフォンの普及や参加局の増加等を背景に、平成24年4月には月間ユニークユーザーが初めて1,000万人を超え、1,046万人に達したところもあります。
利用機器は、パソコンからの聴取とスマートフォンからの聴取がいずれも45%と拮抗。聴取者を見てみると、「radiko」の聴取者の平均年齢が38.8歳(放送による聴取者49.6歳)。聴取時間帯は、放送による聴取者は深夜帯は大きく低下するのに対し、「radiko」の聴取者では、夕方・深夜帯に多く利用されています。このようにインターネットによるラジオの再送信は、ラジオ放送の難聴取解消のみならず、聴取層の拡大などラジオが抱えている課題を解決する手段としての可能性が見込め、利用者利便の向上等の観点も含め、今後の拡大が期待されています。
(参考資料)
総務省 平成24年版「情報通信白書」~「インターネットによるラジオ再送信の本格化」より
■NHK・民放連共同ラジオキャンペーン「ラジオにタッチ!」
インターネットによるラジオの再送信などで多くの若者からラジオへの関心、注目が集まり始めた昨年(2011年)、NHKと民放連加盟のラジオ局は垣根を越えてラジオの周知を目的にラジオキャンペーン「はじめまして、ラジオです。IN渋谷」を開催しました。当初は、2011年5月15日開催の予定でしたが、東日本大震災後の混乱や余波もあり延期されて、10月2日に東京・渋谷のNHK放送センター特設ステージを中心に1日だけのイベントを展開しました。そして、今年(2012年)のNHK・民放連共同ラジオキャンペーンは、2012年8月24日から大阪で開始されました。キャンペーン第2弾のタイトルは、「ラジオにタッチ」。NHK大阪・MBSラジオ・ABCラジオ・ラジオ大阪・FM OSAKA・FM802の在阪6局が共同で開催。第1弾は、“1日限りのイベント”でしたが、第2弾の「ラジオにタッチ」は、8月24日から約4ヶ月にわたって実施! 在阪6局をまたいで制作される番組や街頭、イベントなどでさまざまなPR活動を行い、ラジオの存在を力強くアピールしています。
また今回、このキャンペーンのテーマソングに、コブクロ復帰第1作となるベストアルバム『ALL SINGLES BEST 2』に収録されている「ココロの羽」が起用され、12月までの約4ヶ月間、大阪のラジオ各局でテーマソングがオンエアされ続けます。また、コブクロ活動再開後の初ライブ「FAN’S MADE LIVE」の“ラジオにタッチ!”リスナーズエリアに、抽選で100組200名の方をご招待するキャンペーンも実施しました。さらに、11月から放送する6局共同制作のラジオドラマに、俳優の小栗旬さん・蒼井優さんの出演が決定!2人の共演はデビュー間もない2001年の単発テレビドラマ以来11年ぶりで、ラジオドラマでは初共演!2人が出演するラジオドラマは1話完結の30分ドラマで、全6話シリーズ、タイトルは『6COLORS』。気鋭の劇作家6人が6つの色をテーマにオリジナル脚本を書き下ろしています。
(2012/11/05)