3月13日は旧暦の「初午(はつうま)の日」だった。「初午」とは立春の後、最初の午の日を指し、稲荷信仰の総本山である「伏見稲荷大社」に、神様が降りてきた日とされている。「初午の日」には稲荷神社ではは五穀豊穣を祝い「初午祭」が開催される。
稲荷神社のお供え物と言えば「いなり」だ。初午の日にいなりを食べる風習は昔からあるが、近年ではコンビニやスーパー等が初午の日といなり寿司を絡め、様々な動きを見せている。
節分の日に恵方巻きや豆類、ちらし寿司等をコンビニで購入する顧客が増え、次の大きなイベントであるバレンタインデーにチョコを購入する人は当然多い。
安定した市場規模を持つ節分とバレンタインの間にあるのが「初午の日」。まだ浸透していないからこそ力が入るのは当然だ。
そこで今回は、今年の初午の日にはどのようなイベント・キャンペーンが行われたのか、振り返ってみよう。
日本惣菜協会の呼びかけ「日本の食文化を守りたい」
日本惣菜協会は、単身世帯の増加や女性の社会進出による調理の簡便化等により、家庭で調理をする機会が減少し、これまで家庭内で受け継がれてきた、「日本食文化の伝承」が失われつつあると警鐘を鳴らした。
その一方で、食文化の伝承には、地域の食を支えているコンビに・スーパー等が大きな役割を担っているとし、業界全体で販売イベントを行い、それを通じて日本古来の伝統食の伝承や地域食材の普及に、寄与貢献することを目的としてあげ、初午の日に合わせた「初午いなり」販売イベントの開催協力を呼びかけた。
2.各小売店の動き
数年前からコンビには初午の日にいなりを食べる文化を一般にも定着させようと、様々な宣伝・キャンペーン等を行っている。今年も殆どのコンビニで店内ポップ等を使用し、「初午いなり」を宣伝していたようだ。
ファミリーマートでは新暦の初午(2月6日)に合わせて新商品「わさびいなり寿司」を販売した他、パッケージには、期間限定で狐をイメージしたワンポイントシールを貼付した。
特に力が入っていたのはローソン。自社サイトで初丑の日を取り上げ解説、商品の紹介を行う他、SNSでも呼びかけをした。
百貨店・スーパーでも初午と関連付け、いなり寿司を売り出した。小田急百貨店はSNSで宣伝を行った。黒糖いなり等の「変わりいなり」を販売する店舗もあったようだ。
3.みずずコーポレーションによるイベント
「いなり」を製造するみすずコーポレーションは、初牛の日の啓蒙を目的に、3月13日に渋谷PARCO前で『「初午いなりの日」記念イベント』を開催した。
イベント当日には巫女に扮したスタッフが出迎え、絵馬を描いてくれた来場客に、いなり寿司を無料で提供した。貰えるいなりは3個入りで、林檎や柚子など様々な風味を好みで選ぶことが出来た。
みすずコーポレーションはこれまでにも初午イベントを実施、PRしてきた。今年は浅草でも啓蒙イベントを行った。
4.初午の今後
以上のように、初午は数年前から注目され始め、力が入れられている記念日だ。節分やバレンタインと近いため、印象が薄いという声もあるが、主婦の方にとって「その日の献立」が簡単に決まる日は嬉しいものだ。定着する可能性は充分にあるだろう。
まだ初午自体を知らない人が多いため、認知を目的にしたキャンペーン・イベントが多いが、今後一般に浸透すれば、多様なキャンペーンが展開するのではないだろうか。
変わり恵方巻きがネットで話題になったように、Buzzを狙ったいなり寿司が今後登場するかもしれない。
とにかく、今後注目したい記念日であることは間違いないだろう。