2011年3月11日に勃発した東日本大震災の爪痕は、原発問題もあり収束するどころか広がるばかり。残念ながら今後数十年単位で日本人全員が向き合っていかなければならない切実な問題となってしまった。現在心あるいろいろな分野の人たちが、得意技術を活かしてさまざまな支援活動を続けている。エネルギー政策の研究・提言を行なうNPO法人「環境エネルギー政策研究所(ISEP)」ら約20の団体による「つながり・ぬくもりプロジェクト」もそのひとつ。ライフラインが滞り、過酷な生活を余儀なくされている被災地の人たちに、自然エネルギーを活用した電気・お湯・お風呂を届けようということからスタートしたプロジェクトで、全国へ義援金協力を呼びかけている。同プロジェクト事務局によると、こうした設備は、大規模なインフラの復旧・整備が必要なく、キットを現地に運んで組み立てるだけで、すぐに使うことができるのだそう。「このプロジェクトを始めてすぐに、多方面から『設置してほしい』とのリクエストをいただき、できる限り早く、たくさんの場所で設置できるよう努めています」と話している。
同プロジェクトが提唱している自然エネルギー支援は3つ。まずは「太陽光発電」だ。これまでは緊急支援として、電気のない避難所に太陽光発電パネルを設置し、灯りをともしてきた。「被災地の方々と協力して、避難所や診療所、仮説住宅などに太陽光発電システムを設置する。35万円あると1kWhの太陽光システムで、照明やテレビやパソコン、様々な家電製品を動かすことができます。電力の需要に応じて、もっと大きな電力を生み出すシステムの設置も可能です」とのこと。自然エネルギー支援団体は、自然エネルギー事業協同組合レクスタ。
2つめは、「太陽熱温水器」。震災直後、被災地の人たちは停電や燃料不足のため、炊事・洗濯はすべて冷たい水を使っていた。そこで、避難場所およびインフラの遅れている地域を中心に、太陽熱温水器を直に地面に置くことで、太陽熱で温めたお湯を使ってもらったという。湯温は晴れていれば40度、曇っていても20度にはなる(4月の気候の場合)。1カ所に設置するための寄付金額は30万円。支援団体は、ぐるっ都地球温暖化対策地域協議会。
3つめは、「バイオマス」(※)だ。被災地におけるお風呂の問題は切実で、ゆっくりとくつろぐこともままならない中、数週間お風呂に入れないという状況があった。岩手県大槌町の吉里吉里小学校では、薪ボイラー車による巡回お風呂サービスが岩手・木質バイオマス研究会により運営されている。
7月6日現在、寄せられている支援ニーズの見積もり額は約7,200,000万円。支援案件は同ウェブサイトで閲覧することができる。「電気やガスの復旧後も、光熱費削減などの生活支援として、緊急時・災害時のバックアップとして、また、地域やコミュニティ再建のシンボルとして、被災地の皆さんに自然エネルギーを活用してもらいたい」と事務局は話している。まだまだ必要とする人たちが多く、1ヶ所でも多くの設置が急がれるところだ。プロジェクトは「設置の必要経費は、皆さまからのご寄付でまかなっております。少しでも多くの方を自然エネルギーで支援できるよう、ご協力よろしくお願いいたします」と呼びかけている。サイトより、3つの自然エネルギー支援から一つ選び、金額を振り込む仕組みになっているが、用途を指定せずとも募金はできる。1,000円以上から受付。
なお、パタゴニア社ではオリジナルTシャツ「Patagonia Men’s Live Simply Japan Relief T-Shirt」の販売を開始。売り上げの100%が「つながり・ぬくもりプロジェクト」に寄付されるそう。
オンライン販売サイトはこちら。
※バイオマス:家畜排せつ物や生ゴミ、木くずなどの動植物から生まれた再生可能な有機性資源のこと
(2011年7月12日 小松静)
お問い合わせ
つながり・ぬくもりプロジェクト事務局
(特定非営利活動法人 環境エネルギー政策研究所内)
東京都中野区
TEL:03-6382-6061
FAX:03-6382-6062
Email:re-shien@isep.or.jp
URL: http://tsunagari-nukumori.jp/