世界遺産の奈良市興福寺で300年ぶりの落慶法要「興福寺中金堂落慶法要」
世界遺産である興福寺で、約300年ぶりに伽藍の中心的建物である中金堂が再建され、10月7日から11日までの5日間にわたり、中金堂再建を祝う落慶法要が行われた。再建された中金堂は、東西37メートル、南北23メートル、高さ21メートルで、法要は午前10時から12時ごろまで。初日の興福寺による奉告(ぶこく)法要には約3,000人の参列者らが集い、完成を祝った。観世流の浅見真州さんによる祝いの能や華道家元・池坊の池坊専好さんの献花、武者小路千家の千宗屋さんの献茶のほか、僧侶が唱える声明に合わせて、中金堂や隣接する五重塔の屋根からハスの花びらをかたどった色とりどりの紙片の散華が行われ、多川俊映貫首が本尊に向かって完成を諸仏に告げる「奉告文」を読み上げた。8日は、西国三十三所札所会、9日は南都諸大寺、10日は比叡山延暦寺による法要が続き、11日に興福寺による法要で結願。各日とも夜には、中金堂再建落慶記念として、興福寺中金堂前庭でバイオリニストやシンガーソングライターによるコンサートや見仏トークなどの関連行事も行われている。一般拝観が始まった10月20日から11月11日までは、中金堂をライトアップ。音楽に合わせて次々に変わる光で中金堂を照らし、夜間の特別拝観も実施された。総工費約60憶円かけて再建された巨大木造建築の落慶法要は、どのように営まれたのか。5日間の落慶法要の次第とともにレポートする。
興福寺中金堂