コロナ禍での来日公演を振り返る「ウィーン・フィルハーモニーウィーク イン ジャパン2020」
2020年11月5日から14日にかけて、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(以下、ウィーン・フィル)の日本公演が予定通り実施された。東京のサントリーホールをはじめ、北九州、大阪、川崎公演も合わせ全国4ヶ所、直前に決定した追加公演も含めて全8公演、動員1万5,000人を超える11日間(到着日を含む)のツアーとなった。
コロナ禍でチケット販売再開は公演直前となったにもかかわらず、各ホールとも、ほぼ完売公演となった。
新型コロナウイルス感染の世界的拡大により、来日実現が危ぶまれたなか、公演開催の正式発表は、来日5日前となる10月30日。十分な感染防止対策と両国間の文化交流の重要性も鑑みて、入国が認められた来日公演となった。
感染拡大防止のため、ウィーン・フィルはチャーター機を使用。滞在中は、宿泊施設とコンサートホール間の移動以外の外出を行わず、国内移動の際は、新幹線の予約の工夫や宿泊施設でフロアごと貸し切りを行うなど、徹底した隔離態勢がとられた。
安心できる形で公演が実施できるよう、ウィーン・フィルは日本滞在中も新型コロナウイルス検査を行い、万全を期した。
また、公演期間中は、ウィーン・フィルの例年の日本公演同様、無料公開リハーサルや中高生を対象とした青少年プログラムなどのさまざまな特別プログラムも実施された。
今回は、2011年の東日本大震災後、ウィーン・フィルとサントリーによるマッチング・ファンドとして設立された「ウィーン・フィル&サントリー音楽復興基金」活動の一環として行われてきた、ウィーン・フィルの被災地への訪問による「こどもたちのためのコンサート」が叶わなかったが、上記の青少年プログラムの映像を鑑賞用オンライン教材として編集し、被災4県(岩手、宮城、福島、熊本)の中学校と高等学校を対象に期間限定で提供することとなった。国内のコロナウイルス感染拡大により、緊急事態宣言が再発令されている今、改めて、ウィーン・フィル公演の成功事例について振り返る。
(画像提供:サントリーホール)
「HAND! in Yamanote Line -山手線でアートと音楽を楽しむ15日間-」
先の見えない不安の続く今だからこそ、いつもの駅でアートや音楽と出会い、繋がる、素敵な体験を。山手線全30駅を舞台に、ライブペインティングや音楽演奏、インスタレーション、ARアート体験などさまざまなイベントを繰り広げる、山手線でアートと音楽を楽しむ15日間のイベント「HAND! in Yamanote Line -山手線でアートと音楽を楽しむ15日間-」が11月16日(月)から11月30日(月)まで開催された。タイトルにある「HAND!」は「Have A Nice Day!」の略。「山手線で一緒に楽しみましょう」という気持ちが込められており、山手線の「手」ともリンクさせている。
本イベントは、山手線各駅のほか、その周辺施設、オンラインも舞台に展開。
山手線を起点に、沿線の多様な個性を引き出し、駅、まち、人、それらの点を線にして面へとつなぎ、魅力的な出会い、感動体験ができる、個性的で心豊かな都市生活空間の創造を進めるJR東日本「東京感動線」の取り組みの一環で実施した。
「東京感動線」が手掛けているまちの交流拠点も会場となっており、西日暮里駅構内で地域に根差した新しい形の学びを提供するインキュベーションスペース「西日暮里スクランブル」や「エキラボniri」等でもイベントが行われた。
11月16日のオープニングイベントでは、高輪ゲートウェイ駅でアート×音楽の1日限りのコラボライブを実施。「楽しんだっていい」を合言葉に、「楽しい国、日本」という作品の完成を目指すアートカンパニー「OVER ALLs」と、はからめカルテット(東京都交響楽団メンバー)によるオープニングライブを行った。
また、期間中は、山手線30駅のポスターパネルを「OVER ALLs」がジャックする、ゲリラライブペインティングを実施。イベント最終日には、東京駅改札内グランスタ東京のイベントスペーススクエアゼロで、「イベントフィナーレライブペインティング」が行われ、山手線30駅で描かれたアートが東京駅に集合した。
日本初のコンテンツモール「ところざわサクラタウン」グランドオープン
株式会社KADOKAWA(以下、KADOKAWA)と公益財団法人 角川文化振興財団は、11月6日、埼玉県所沢市に大型複合施設「ところざわサクラタウン」を全館開業した。KADOKAWAによる日本初のコンテンツモールであり、みどり・文化・産業が調和した誰もが「住んでみたい」「訪れてみたい」地域づくりを進める、所沢市とKADOKAWAとの共同プロジェクト「COOL JAPAN FOREST構想」の拠点施設の位置付けともなる施設だ。
「角川武蔵野ミュージアム」、eスポーツから2.5次元ミュージカルまで1,800名収容の「ジャパンパビリオンホールA」と、200名収容のDCP対応シアター「ホールB」などのイベントスペース、「好きな物語に、泊まる。」がコンセプトの体験型ホテル「EJアニメホテル」、古代と現代が融合した「武蔵野坐令和神社」、KADOKAWA直営の体験型書店「ダ・ヴィンチストア」やショップ、レストランのほか、KADOKAWAの新オフィスや書籍製造・物流工場も備えた複合施設として展開。約40,000 m²の敷地に、KADOKAWAの出版事業、映画事業、サブカルチャーを核にした多様な文化を結集し、“COOL JAPAN”の拠点として日本のポップカルチャーを全世界に発信していきたいとしている。
施設の設計は、建築家の隈研吾氏が手掛けた。「ところざわサクラタウン」のランドマークとなる「角川武蔵野ミュージアム」は、岩を多角形に組み合わせたデザインで、自然や文明の姿を表出させる“迷路的な地球”をイメージ。ミュージアム内の高さ8メートルの巨大本棚にかこまれた空間「本棚劇場」では、本棚にプロジェクションマッピングを上映する。本もマンガもアニメもある、美術も博物もある、ハイカルチャーとサブカルチャーが交じるような複合文化ミュージアムだ。
グランドオープンを記念し、企画展示室「グランドギャラリー」では、グランドオープン第一弾企画として、本館の博物部門ディレクターである荒俣宏氏監修による展覧会「荒俣宏の妖怪伏魔殿2020」、「EJアニメミュージアム」では、KADOKAWA刊行のアニメ情報誌「月刊ニュータイプ」が取り上げてきたさまざまなアニメを振り返るオープニング企画「Newtype35周年アニメ・クロニクル」を開催。
また、グッズやフードを販売する屋外イベント「アニメキャンプ2020」(11月6日(金)~15日、NHK-FM特番「埼玉アニメディアソン」公開生放送(11月7日/埼玉県内向け)など、さまざまなイベント・キャンぺ―ンを全館で展開した。